都会派のハシブトガラスに対して、カントリー派のハシボソガラス
カラス、カラスとあまりに身近な鳥ですが、実は種類があります。ゴミをあさっているイメージが強いカラスは「ハシブトガラス」、農耕地や河川敷など郊外の開けたところにいるのが「ハシボソガラス」です。ハシとはくちばし(嘴)を表しますが、まさにくちばしの太い、細いの違いが特徴です。
英語でcarrion crow「腐肉を食らうカラス」本当は菜食がメイン
ハシボソガラスは英語でcarrion crowと言います。carrionとは腐食、腐食を食べるカラスといった意味合いでしょうか。とはいうものの、基本は雑食性で植物菜食を好みます。植物の種子をよく食べます。
鳥類の中でダントツに賢いカラス
カラスは鳥類のなかでもダントツに知能が高いです。頭部が他の鳥に比べても大きいですし、脳も大きいです。地上からくるみなどの木の実を落として車に轢かせて割り、中の実を食べます。こんな知恵を使った行動からもハシボソガラスの頭の良さがわかるのではないでしょうか。
ハシブトガラスとの違い
ハシブトガラスは都会の街中でもよく見かけるカラスです。名前のとおりくちばしがハシボソガラスよりも太くて湾曲しています。そして額が前に突き出したようなちょっといかついルックスです。大きさもハシボソガラスより一回り小さめです。
ハシブトガラス | ハシボソガラス | |
くちばし | 上くちばしが湾曲していて太い | 湾曲はなく平べったい |
額 | 出っ張っている | なだらか |
鳴き声 | 「カーカー」 | 「ガーガー」 |
歩き方 | 両足で跳ねるように歩くことが多い(ホッピンク) | 足を交互に出して歩くことが多い(ウォーキング) |
すんでいる場所 | 森林や都会 | 市街地から離れた郊外河川敷や農耕地など |
大きさ | 約57センチ | 約50センチ(ハシブトガラスより少し小さめ) |
ハシブトガラスについてはこちらのこちらの記事をご参考に!ハシブトガラスの鳴き声は「カーカー」
カラスの漢字はどう書くの?「烏」と「鴉」がある
カラスを感じで書くと2種類あります。調べていて由来が面白いな、と思ったのでご紹介します。
烏
一瞬「鳥」かなと思いますが、よくよく見ると4画目の横棒がありません。この4画目は鳥の「目」を表す部分だそうです。その目がない、つまりカラスは体も目も黒いので見えにくいことからこの字になったそうです。烏というと私の地元京都の地名「烏丸」を思い出します。京都市内のビジネス街なのですが、読み方は「からすま」です。「とりまる」「からすまる」と読んでしまいがちで、地名読み方クイズなんかでも常連の地名です。京都人なら烏はみんな読めると思います。
鴉
もう一つのカラスはこちら「鴉」。「牙」はガとも読みますが、これはカラスの鳴き声を表した音に由来する漢字です。川や山は、形に由来する「象形文字」ですが、音に由来する感じというのがあるんですね。他にも形声文字には鳩(クークー)、蚊(ブーン・ブーン)などがあります。漢字の由来も面白いですね。
人間に身近な野鳥
カラスはスズメ、ハトに並び、人間にとってとても身近な鳥です。ものさし鳥といって、野鳥の大きさの指標となる鳥が4種類います。スズメ、ムクドリ、ハトそしてカラスです。スズメと同じ大きさのときに「スズメ大」と言ったりします。それだけ多くの人がいつでもどこでも見ることのできる鳥がものさし鳥に選ばれていると思います。それだけカラスはやっぱり身近な鳥です。ちなみにものさし鳥のカラスは、厳密にはハシブトガラスを想定されているので、ハシボソガラスよりは一回り大きいイメージです。
カラスは現在は凶兆を告げる鳥と考えられることが多くなりました。でも 古くは八咫烏(やたがらす)のように神意を伝える霊鳥とされていましたし、古代エジプトでは太陽の鳥とされていたりとたくさんの神話や伝説にも登場しています。
カラスというとゴミをあさり散らかすイメージがありますが、ハシボソガラスはゴミをあさりません。必ずしもすべてのカラスがゴミをあさっているわけでありません。カラスにも種類があることを知ると、街中や郊外で見かけるカラスを見る目も変わるかもしれませんよ。