「せっか」という名前の野鳥がいます。スズメよりもまだ小さい、体長12.5㎝ほどの小さな鳥です。
野鳥に興味の無い方にはマイナーな野鳥かもしれません。私も最近までは存在を知りませんでした。ところがこのセッカ、身近な野鳥でありながらも、かなりクレイジーな野鳥なんです。すごいんです。今回はこのクレイジーな小鳥についてご紹介してまいります!
セッカの巣作り
実はこのセッカを書くためにネットを調べていたら、2021年の春に「ダーウィンが来た」で特集されたことがわかりました。セッカの巣作りの凄さが初めて撮影されていました。詳しくは(NHK)のサイトをご覧ください。
裁縫する鳥!?
セッカ科をはじめ、サイホウチョウ科の野鳥の中には植物の葉っぱを糸で「裁縫/サイホウ」して巣を作ることができるものがいますが、このセッカもその代表種であり、その裁縫の様子が初めて撮影され番組になったようです。
詳しい解説は『日本野鳥の会 とっておきの野鳥の授業』という興味深い本の中で上田恵介さん(公益財団法人日本野鳥の会会長)の記事もありますので是非ご参考に。
セッカのクレージーポイント3つ
器用な野鳥
まず一つ目のクレイジーは、裁縫して巣を作る器用な野鳥 ということです。イネやチガヤなどのイネ科の植物の葉をクモの糸をうまく縫い付けて1シーズンに20個ほども「オス」が巣を作ります。
一夫多妻
もう一つのクレイジーは一夫多妻なこと。先に述べたような巣は雄が専門で作りますが、オスは次々と巣を作りメスを呼び込みます。強者の雄では1シーズンになんと11羽のメスとつがったそうです。雄は平均しても3~4羽ぐらいのメスと交尾をします。
見えを切る!
そして、3つ目のクレイジーは歌舞伎役者張りに見えを切ること イラストのようにまたぐように枝にとまる姿はセッカの代名詞ともいえるポーズです。このようなポーズは野鳥の中ではかなり奇妙だと思います。2枚目歌舞伎役者さんみたいですねー(いやいや、少しジョジョ立ちっぽいかも^^)
セッカとの初めての出会い
初めての出会いはかつてないほど衝撃的でした。最初は鳥とは認識できませんでした。どういうことかというと、はじめに目に映ったのは、タンポポの綿毛のような白いふわふわしたものが空中を浮遊しているのを見たのです。一瞬、人魂ッ!? ガかチョウチョウ???と思いました。
白い物体が、風に吹かれているわけではなく、意思を持ってふわふわと飛んでいるので幽霊のようでかなり不気味でした。
そして、その白い物体が枝にとまったときに初めてわかりました。小鳥が口に白い綿をくわえていた事が。それがセッカだったのです。
雪のような…
セッカの名前は漢字で書くと「雪下」、もしくは「雪加」と書きます。巣作りに白い雪のような材料を混ぜるのでそのように呼ばれるのかなと思います。とてもいい名前ですね。イメージに合っていると思います。個人的には「雪華」でもいいかと。狙いすぎですかね;
それまでセッカのことはあまりよく知りませんでしたが、巣作りのために白い綿を加えることは何かで見たことがありました。かなり衝撃的な出会いであったことは間違いありません。多摩川河川敷で6月の日中に幽霊なんて!と思いますが、クレイジーな初登場に小生、やや肝を冷やしました。
さえずり飛翔するセッカにも会えた
同じ日の多摩川河川敷ではさえずり飛翔をするセッカにも出会えました。「フィフィ、フィフィ、フィフィ…」、「チョキチョキ、チョキチョキ、チョキチョキ…」と上下しながら頭上を飛び回り、プレイボーイっぷりを発揮していました。
同じ春のさえずり飛翔ではヒバリが有名ですが同じような生態なのかもしれません。天高く舞い上がるヒバリと違ってセッカは波状飛行です。少し低めをふわふわ飛んでいました。これは見分けの参考になると思います。
はさみでチョキチョキ
セッカは英語名「Zitting Cisticola」となっています。「Zitting」するセッカとなり、Zittingとははさみでチョキチョキ何かを着る音の意味のようで、さえずり飛翔時の声のことですかね。なるほど、と思いました。
ちなみに、日本では留鳥です。野原や河川敷、草原に生息し雪の降る地域では冬に暖地に移動するようです。生息域は南アジア、南ヨーロッパとアフリカに点在しています。セッカ科の野鳥は日本では本種のみですが世界には多く起源はアフリカとされています。
まとめ
セッカは不思議な野鳥です。見た目かなり地味ですが、奇妙な生態を持ち、とてもお茶目で、そしてクレイジーな愛すべき小鳥です。大きな声でさえずり飛翔したかと思えば茂みでせっせと巣作りしたり。目立ちたいのか地味なのか、七変化を見せるあたりもユニークです。