バンと聞いて、野鳥の一種と連想できる人は野鳥に詳しい人ではないでしょうか。
僕は同じクイナ科のオオバンを先に知りましたが、オオバンは白い額、バンは赤い額と覚えました。しかし双眼鏡でのぞくと、いろんな表情があり、結構面白い野鳥です。
バンは黒い体に赤い額ではなく、よくよく見ると黒、赤、黄、茶と実は色彩豊かで、日本にいる野鳥という感じではなくオセアニアなどにいそうな異国情緒漂う雰囲気です。
バンについて
英名は「Common Moorhen」
バンはクイナ科の野鳥です。クイナは「水鶏」と書きます。まさに水辺にすむ鶏に似た鳥という意味からきています。バンの英名はCommon Moorhenです。moorhenとは沢地や荒地にすむ鶏という意味で、別名をwaterhenなのでまさに水鶏ですよね。
留鳥
北日本では夏鳥、関東以南では留鳥です。
湖沼や川、水田、海岸や公園の池のヨシやガマなど水草の根元に草を集めて巣を作ります。
ルックス
バンは雌雄同色です。額からクチバシは赤く、クチバシの先っぽは黄色いです。脇腹には白い羽があります。
成鳥もヒナも体色は黒色ですが、若鳥は茶色です。
鳴き声「クルルルー」
「クルルルー」と鳴きます。まるで子犬のような声に聞こえます。渡りの時には夜飛びながらキュッキュッと鳴きます。
若鳥はヘルパー
バンの若鳥は自分が巣立った後、親鳥が繁殖して生まれたひな、つまり弟や妹に食べ物を与えたりして、子育てを手伝うことがあります。
オオバンとの違い
同じクイナ科の野鳥にオオバンがいます。額からクチバシにかけての色が異なるのが最大の見分けるポイントですが、それ以外にもいくつか相違点があるのでまとめてみました。
サイズ | 足指 | 額板 | 腹部 | |
オオバン | 39cm | ひれ(弁足)あり | 白 | 白くない |
バン | 33cm | ひれなし | 赤 | 白い |
オオバンについて詳しく知りたい方はこちらもぜひ読んでみて下さい。「オオバン、一風変わった黒い水鳥」
バンとの出会い
東京港野鳥公園や井の頭公園で何度かバンを見たことがあります。オオバンは顔が白いのでわかりやすいのですが、バンはオオバンより小ぶりで赤いの、と最初覚えました。
実はそうシンプルな色合いでもないことに気付きました。体色は真っ黒ではなく、茶色っぽい黒でオオバンのようにツートンではありません。
冒頭にも書きましたように、バンという名前を聞いて、それが野鳥の名前だと思う人はまあまあ野鳥好きバーダーでしょう。普通バンと聞くと、自動車を想像します。ネーミングもとてもユニークだと思います。実はバンは古来より日本で親しまれている野鳥で、バン(鷭)という名前も水田の番人をする、という意味で名付けられているという説がありました。諸説あるようですが、バンの本当の由来はよくつかめませんでした。
なぜバンなのでしょう?本稿の締めくくりに個人的な見解を述べようと色々と考えましたが、結局気の利いた答えは思い浮かびませんでした。今後もバンを見るたびに「なぜお前はバンなのか」と問い続けることになりそうです。