サギというと白鷺(シラサギ)を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。実はサギといっても白くないサギもいます。今回は白くないサギの中でも割と身近に目にするゴイサギについて、またゴイサギと区別の難しいアオサギやササゴイとの違いについて紹介していきます。
ゴイサギの特徴
頭と背が白い、猫背タイプ
ゴイサギは雌雄同色で、オスもメスも同じ色合いです。頭と背中が藍色、後頭に白い冠羽がある。背中を丸めてずんぐりしている。サギというと細長い首をイメージしますが、ゴイサギは水辺でも空を飛ぶ時でもいつも首を縮めています。目(虹彩)は赤です。一見充血したような目をしています。
全国の動物園や水族館のペンギンコーナーにゴイサギがやってきて、餌を取っていくという話題を耳にします。首を縮めてたたずむ姿はペンギンそっくり!ペンギンは捕食者以外には興味を示さないため、威嚇などすることもなく受入れているとのこと、ペンギンコーナーで赤目の個体を見かけたらご用心、飛べない鳥=ペンギンが飛んだ!ではなく、それはゴイサギです。
幼鳥のことを「星五位(ホシゴイ)」
全体が褐色で背面の羽毛などに明るい黄褐色の斑があるのが星のように見えることから、幼鳥は「星五位」や「星鳥」と呼ばれます。素敵なネーミングですね。きらめく星々、希望の星といったところでしょうか。成鳥の色彩になるまでに3年ほどかかります。幼鳥の目は橙色ですが、徐々に赤色に変わっていきます。
川、湖沼、水田にすむ留鳥
ゴイサギは本州、四国、九州にすむ留鳥です。東北地方では夏鳥です。川や湖沼、水田など水辺にすんでいて、魚やカエル、エビ、昆虫などを食べます。
鳴き声「クワックワッ」
飛びながら「クワックワッ」と鳴きます。夜にカラスのような大きな声で鳴くことから「夜ガラス」と呼ぶ地方もあります。
夜行性
英名はBlack crowned night heronといいます。昼間に水辺の木やヨシの茂みをそっとのぞくと、首を縮めて休んでいるゴイサギの姿を見つけることができます。僕も善福寺公園で昼間にゴイサギを見たことがありますが、その時もヨシの茂みの中に佇んでいました。
名前の由来「五位鷺」
ゴイサギは漢字だと「五位鷺」と書きます。醍醐天皇に五位(貴族の階級の一つ)を与えられた故事に由来しています。
醍醐天皇が池の汀にサギを見つけ「捕ってこい」と命令されました。お付きの者がどうやって捕えたらいいものか思案していたらサギが飛び立とうとしたので「宣旨だ」と言うと、サギは地に伏しました。天皇は「宣旨に従って参ったことは神妙なことだ。五位になせ」と命じられこのサギを五位にされ、「今日からは鷺の中の王であれ」と書いた札を首にかけてやって放されたというお話です。
他の白くないサギとの違い
ダイサギやチュウサギ、コサギは全身ほぼ白なのでゴイサギとの区別は簡単なのですが、白くないサギとの区別はなかなか難しいものです。白くないサギであるアオサギ、ササゴイ、ヨシゴイとの違いについて紹介していきます。
シラサギについてはこちらの記事もぜひご覧ください。
・ダイサギ「シラサギといえばダイサギ!チュウサギやコサギとの見分け方とは?」
・コサギ「コサギ、黄色い靴を履いたシラサギ 」
アオサギとの違い
大きさが違う
ゴイサギは58cm、アオサギは93cm とアオサギの方がだいぶビッグサイズですね。
首の様子
ゴイサギは首を縮めていますが、アオサギは伸ばしています。
頭部の色
ゴイサギは帽子をかぶったような紺色の頭部ですが、アオサギは頭部は全体的に白で太いまゆのような黒いラインが冠羽まで伸びています。
眉毛のようなラインがあればアオサギ、頭全体が紺色だったらゴイサギと考えて間違いないと思います。
アオサギについてはこちらの記事もぜひご覧ください。「アオサギ、歌舞伎役者のような凛々しい顔」
ササゴイ、ヨシゴイとの違い
ゴイサギ、ササゴイ、ヨシゴイ、この3種は身近な小ぶりのサギです。いずれも首を縮めています。 どう区別をつけたらよいのでしょうか。
ゴイサギ 58cmカラス大、水辺や市街地に棲む、虹彩は赤色
ササゴイ 52cm カラスより小さい、ヨシ原で夏鳥、虹彩は黄色
ヨシゴイ 37cmハト大、日本のサギの仲間で最小、夏鳥、褐色系
つまりゴイサギとササゴイは虹彩で見分け、秋から春にかけて見たらゴイサギということですね。一方ゴイサギとヨシゴイとの違いは大きさと色合いといった感じでしょうか。
ちなみにヨシゴイは首の模様が枯れたヨシの茎に似ていて、首を真っ直ぐ上に伸ばして擬態します。敵が近づくと敵が離れるのを静止して待ちます。
まとめ
サギというとやはりシラサギなので、水辺でゴイサギを見かけてもサギとはパッと思い浮かばないかもしれません。ましてやペンギンの中に混じり込んでいるのがまさかサギとは思いませんよね。でも白色ではないサギもいます。ヨシの中にそっとたたずむゴイサギ、ぜひ見つけてみてください。