春から夏にかけては野鳥たちは子育ての季節です。この頃にまだうまく飛べないヒナが地面に落ちたり、降りたりしていることがあります。思わず助けてあげたくなりますが、実は近くに親鳥がいることが多いです。人が手を出すと親鳥は近づくことができません。
日本野鳥の会からもらったポスターを見て、ヒナを安易に助けてはダメということを僕も知らなかったので、皆さんにお伝えしたいと思い記事にしました。
もし地面で飛べずにいるヒナに出会ったときにどうすればいいのか?対処法についてお話をしていきたいと思います。
鳥のヒナが落ちてる!「かわいそう…保護してあげよう」はNG
ヒナが飛べずに地面で鳴いているところに遭遇するかもしれません。この無防備なヒナどうにかして救ってあげたい、このままじゃ死んでしまうのでは…と心配になることもあるかもしれません。
でも「うちに連れて帰って保護してあげよう」はNGです。絶対にやめましょう!
ヒナの近くには親鳥がいることが多いから
ヒナの近くには親鳥がいることが多いです。ヒナは巣立つ前の短い期間で、自然界で生き抜くための猛特訓をします。飛び方、エサのとり方、敵から身を守る方法などなど。親鳥は必死でヒナを訓練しています。
そんなヒナを保護してしまうのは、親鳥からヒナを引き離してしまうことになります。親切心で行っていることが、実は誘拐していることになるのです。また人が近くにいることで親鳥はヒナに近づくことができません。
ヒナが落ちているのを見つけたときの対処法
とはいうものの、飛べないヒナを放置しておくのは心配ですよね。ではヒナを見つけたときにどうすればいいのか、具体的な対処法をご紹介していきます。
【巣立ち前のヒナの場合】
巣立ち前のヒナの特徴
・親鳥より小さい
・目がきちんと開いていないこともある
・赤裸や地肌が見えて羽毛が生え揃っていない
・きちんと立つことができない
近くに巣がないか探す
→巣がみつかった!
巣の中に戻してあげる。軍手をつけて触れましょう
→巣が見つからない!
都道府県の鳥獣保護担当へ連絡しましょう。
【巣立ち直後のヒナの場合】
巣立ち直後のヒナの特徴
・羽毛は一通り生え揃っているが、羽色が淡い
・あまくうまく飛ぶことができない
・親鳥に比べ尾羽が短く、体も少し小さく見える
・しっかりと立って歩ける
見守る
基本的には見守り、そのままにしておくのがよいです。もし猫に襲われそうな開けたところであれば茂みや木の上など安全な場所にそっと置いておきましょう。親鳥はヒナの声でいる場所がわかるのでそれであれば大丈夫です。
けがをしてるみたい
明らかに怪我をして動けない様子の場合は、都道府県の鳥獣保護担当署に相談
けがしたヒナについて鳥獣保護担当部署から保護機関や動物病院を紹介された場合は、ヒナの体のサイズにあった箱(ティッシュ箱やお菓子の空き箱など)にお湯を入れたペットボトルや使い捨てカイロをタオルでくるむなどして箱全体を25~30度に保てるようにしましょう。空気穴も開けておきます。箱に移すときは、軍手をしてタオルなどで力を入れず、上から優しくヒナを包み込み素早く箱にいれ蓋を閉めます。水やエサは与えません。ヒナを触ったあとは石鹸でよく手を洗いましょう。
野鳥を勝手に飼うことは違法、保護であっても許可が必要
野鳥のヒナを人が育てることは専門家でもとても難しいことです。できることも限られます。ヒナには大量のエサを与え続けなければなりませんし、大きくなったとしても運動不足で飛べず自然界に戻れないということもあります。野鳥は親鳥の元で育てるのがいちばんです。
また緊急でやむを得ず保護した場合であっても、法律により都道府県の許可が必要です。勝手に捕まえると法律違反になってしまいます。必ず行政の担当部署に連絡が必要です。
ヒナが心配…かわいそう…、でも拾わないで
か弱いヒナに遭遇したら「なんとかしてあげたい!という気持ちが湧いてくるのは当然です。そんなとき、ちょっと冷静になってこのことを思い出してもらえたら嬉しいです。
参考:「ヒナを拾わないでキャンペーン」主催:(財)日本鳥類保護連盟 (財)日本野鳥の会 後援:環境庁