カワウ 意思を感じるそのまなざし

カワウ イラスト

カワウには知性を感じます。目つきを見ると、何かを考えているような賢さがあるのではと思うのです。他の野鳥に比べて、ハシブトガラスもそうなのですが、人と近く生活していて季節を感じない。自然との一体感や季節感を感じにくいのです。僕にとって、他の水鳥とは一線を画しています。

カワウの特徴

僕にとって賢さを感じられるカワウですが、その特徴を紹介していきます。

全体的に黒色

からだ全体が黒色です。クチバシの付け根は黄色く丸みがあります。近くの善福寺川でたまにカワウを見かけますが、主に単独でエサを捕りながら移動します。善福寺川は、遊歩道から川面を見下ろす位置関係にあるため、カワウが水に潜って移動する様子をじっくり観察することができます。全身を水中に沈め、スーとなめらかに泳ぎ進む様子は、黒頭巾をかぶった忍者のようです。まさに水遁の術です。

留鳥

カワウは本州から九州にいる留鳥です。北海道では夏鳥、九州南部以南では冬鳥です。カワウというくらいなので、川に住んでいるのかな?と思っていたら、実は海にもいます。ではウミウとどう違うの??という疑問が湧いてきますが、それについてはのちほどゆっくり。

メスもオスも同じ色

雌雄同色です。水鳥はオスとメスで模様が違うことが多いので、珍しい気がします。

よく羽を乾かす

これはウ全般に言えることですが、ウは羽の油分が他の水鳥に比べて少ないです。そのため、水中で潜りやすい性質があります。ただ濡れてしまうと飛ぶ時に水を含み重くなってしまいます。そのため、よく羽を広げて乾かしています。イラストもその様子を描いてみました。

木の上に巣をつくる

これはウ科の中で、カワウだけの特徴ですが、樹上に巣をつくります。

鳴き声

「グワー」「グルルル」と鳴きます。

ウミウとの違い

カワウ、ウミウと名前がついているので、海で見るウはウミウと思っていました。が、実は海で見られるウのほとんどはカワウだと思います。ウミウはもっと遠洋や岩礁のある海岸に多く生息していて、人が行きやすい港や河口で見られるウはカワウであることが多いと思います。カワウとウミウの違いについては他に以下のような点が挙げられます。

・背に緑色の光沢がある

・全体的に黒いのはカワウと同じなのですが、よくみると背に深緑色の光沢があります。

・カワウは口角の端が丸みを帯びていますが、ウミウはクチバシの口角部分が尖っている

カワウは害鳥?

カワウは害のある野鳥と言われています。一部の地域ではカワウが増えすぎて、集団で巣をつくるため、糞害で問題になったりしています。駆除対象の野鳥になっています。

「鵜のみにする」の鵜

ウの食べ物は魚ですが、丸呑みにします。それを活用したのが長良川や宇治川で行われている「鵜飼(うかい)」です。鵜匠と呼ばれる人がウをしつけ、魚を獲らせます。鵜飼で使われるウはカワウではなく、ウミウです。鵜飼用のウミウを捕獲する様子をYOUTUBEでみたことがあります。茨城県にあるのですが、その捕獲の仕方が驚きでした。

なぜカワウと名付けられた?

ウは一文字の名詞です。勝手な想像ですが、昔から日本人にとってとても身近な野鳥だったのではないかなと思います。私自身カワウ、ウミウと呼び方をするようになったのは、野鳥観察をするようになってからで、それまではウとひとくくりに呼んでいました。

双眼鏡もない昔は、きっとカワウもウミウも識別されてなかったのではと勝手に想像します。違いがあることがわかり、さきにウミウが名付けられ、その違う種類として、「ま、海にもいるけど、川にもいるし「カワウ」と付けとこか…。みたいな経緯があったのでは、と勝手に想像しています。(根拠はまったくありません!)

人間臭いカワウ

羽を広げるカワウのポーズは、よく見られるカワウの姿です。それが鳥っぽくなくおちゃめに感じられるのは僕だけでしょうか。スズメの水浴びや砂浴びは本能的にやっていて、本人は無意識で行っている自然な行動だと思います。カワウの特徴的なポーズもきっとそうなのでしょうが、「濡れちゃった。ちょっと乾かそっかな」と日向ぼっこをしているような人間臭さを感じるのです。そんな親しみもこめて、カワウはこのポーズをイラストにした次第でした。

カワウ イラスト
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