鳥の約6割はスズメ目
スズメ目は約6000種が属していて、鳥類全体の半分以上を占める最大のグループです。この種数は哺乳類と同じくらいです。カラスも実はスズメ目なんですよ。
昔から日本人にとって身近な鳥
スズメは昔から日本人にとって身近な鳥です。「したきりすずめ」や「スズメノテッポウ」「すずめの涙」など、昔話や雑草の名前、ことわざなどにも多く登場します。子どもでも名前と姿が一致する珍しい鳥ではないでしょうか。
スズメは野鳥だけど大自然の中にはいません。人間の近くにいつもいます。屋根の隙間やコンクリートの穴、戸袋などに巣を作ります。
スズメってこんな鳥
スズメのイラストを描いていて感じたのですが、あまりにも身近なのに、姿の特徴ってはっきりわかってないな、と思いました。意外と細部をイメージできないなと。くちばしは黒色、頭はあずき色、のどとほおは黒い、などなど。身近だけど意外と知らないスズメの特徴について、改めてご紹介していきたいと思います。
スズメは春は忙しい
チュンチュンと特に春はにぎやか。春になると忙しそうにしているなと感じます。にぎやかなスズメの様子を見て聞いて春だなあと季節を感じます。というのも、春から夏の終りにかけてがスズメの繁殖期。スズメは他の野鳥に比べて多く、年に3~4回も子育てします。
スズメはきれい好き
スズメは他の野鳥に比べて子育ての回数が多いとお話しましたが、それは同じ巣を繰り返し使うから。きれい好きで、巣もきれいですし、巣をきれいに保つためか砂浴びや水浴びをしてダニを落とす習性もあります。
スズメはものさし鳥
大きさの目安となる鳥。他にもムクドリ、ハト、カラス、がいます。スズメより少し大きいくらい鳥を「スズメ大」と言ったりします。目安となるくらいなので、留鳥で身近で比較的よく認知されている鳥が選ばれています。
僕にとってスズメは、大きさだけでなく鳴き声もものさし鳥です。「チュンチュン」という鳴き声。小鳥を見ると、スズメに比べて大きさはどうなのか、鳴き声・音の高さ・リズムなどはどうなのか、を聞き取り、記憶に留め後で調べるようにしています。
京都にちなんだ思い出
父から聞いた話ですが、父が幼い頃、僕の実家の近く京都の相国寺の藪にもスズメが大量にいて、網で捕獲して焼いて食べていたと言っていました。昔はスズメもたくさんいたのでしょう。電線にズラッと並ぶスズメの大群は僕が小さい頃夕方などよく見かけていたものです。
伏見稲荷大社と言えば観光地として世界中から多くの観光客が訪れる神社です。全国に約3万もある稲荷神社の総本宮で、朱色の鳥居が延々と連なる千本鳥居が有名です。そこの門前名物がなんとスズメの丸焼き。参道に売っています。伏見稲荷は元々は五穀豊穣の神様として厚い信仰を集めていて、その五穀を食べるスズメを退治するとか見せしめにするとか、諸説広く伝わっているようです。見た目も結構スズメ感がリアルです。僕は食べたことはありませんが、タレに加えて山椒が効いているようです。
東京が少ないのか、全国的に減少傾向にあるのか、年々見られるスズメの数が減ってきているように感じます。身近すぎて特別感がないスズメですが、娘たちは「あ、スズメ」とメジロやシジュウカラを見つけたときと同じように反応します。それが僕にとっては新鮮だったりします。
野鳥観察をする上でスズメを知ることはとても重要です。大きさ、声、飛び方、歩き方などスズメを理解することによって初めて他の野鳥のことがわかります。僕にとっては、まさにキングオブものさし鳥です。
野鳥観察に興味がある方はぜひスズメの観察から始めてみてはいかがでしょうか。双眼鏡を買わなくても、探鳥会に参加しなくてもいいです。身近ゆえにスルーしているスズメから広がるいろいろな発見があり面白いですよ。