水辺の金太郎、キンクロハジロ「金黒羽白」

キンクロハジロ イラスト

キンクロハジロ、和名は「金黒羽白」です。語呂がよく、リズム感のあるこの名前が好きです。「ハジロガモ」と名付けずにキンクロハジロとしたところに命名者のセンスを感じます。

タイトルに“水辺の金太郎”と書いていますが、「金黒羽白」が4字で「坂田金時」みたいだな、と思ったので、そうしました。気は優しく力持ち、かどうかは知りませんが。

 

名前の由来

  • 金・・・虹彩(瞳)
  • 黒・・・体色
  • 羽白・・・翼に白い帯

ルックスから名前はきています。この3つを合わせて金黒羽白なんですね。翼に幅の広い白帯のあるのですが、このような特徴をもつカモはハジロガモ類ですが、飛ぶと白い帯がよく目立ちます。

 

キンクロハジロの特徴

40cm

大きさは図鑑では40cmと記載されています。年中見ることができるカルガモが61cmですので、小ぶりの水鳥ですね。

ルックス

オス 目は黄色で、体は主に白と黒のツートンカラーです。頭部は紫色の光沢のある黒色で、後頭部に長い冠羽があります。英名はTufted Duckと言いますが、tuftedが(羽毛や糸など)房をつけたという意味なので、、冠羽の様子からそう名付けられているようです。エクリプスのオス はメスに似ていますがメスより黒味が強く、脇は淡色です。

メス 焦げ茶色の体色で、短めの冠羽をもっています。クチバシの周りが白いのもメスの特徴です。

 

ほとんどが冬鳥

九州以北の各地の公園の池、湖沼、河口に飛来する冬鳥です。北海道でも一部繁殖します。カモ類の中では割と春遅くまで残る傾向があります。

 

潜って食べ物をとる

主に貝や魚を食べます。他に昆虫やエビ、植物の種子、水草なども食べます。カルガモなどの水辺の野鳥に比べて陸に上がることは少なく、水面にいる時もカルガモよりもお尻が沈んで見えます。飛び立つときは水面を助走してバタバタと飛び立っていきます。

 

鳴き声「フィー」

聞いたことがないので聞いてみたいです。

 

スズガモとの違い

よく似た野鳥にスズガモがいます。スズガモはキンクロハジロと同じように水中に潜って食べ物をとる、白黒ツートンカラーの水鳥です。

違いを見分けるポイントは3つです。

  • 背中の色
  • 冠羽の有無
  • 頭の色調

スズガモの方がやや大きく、冠羽はありません。キンクロハジロ(オス)が脇、腹だけが白いのに対し、スズガモは背が黒くなく灰色っぽい白色をしています。

また頭部はいずれも黒色なのですが、キンクロハジロが紫色の光沢があるのに対し、スズガモは緑色の光沢があります。

 

キンクロハジロとの出会い

初めて知ったのは東京港野鳥公園で5月に開催された探鳥会でのことでした。それまでキンクロハジロという野鳥は知らず、レンジャーの方の話を聞いて「そんな名前の鳥がいるんだ」と漠然と存在を知りました。

よく見てみると顔がやや怖い感じがします。黒い体に黄色のつぶらな瞳と、風貌も割と特徴的なので、名前と合わせてすぐに覚えられる野鳥だと思います。

淡水域でみられるカモは種類も多くいるのですが、他の水鳥とは明らかに特徴が違うのがキンクロハジロとオオバンです。しかも個体数が多くて、身近に見ることができるので、カモの中での物差し鳥になるのではないかなと思います。ぜひ秋冬の水辺でぜひ探してみてください。

ちなみに冒頭で“気は優しくて力持ち”な金太郎のイメージとお話ししましたが、ある図鑑では、キンクロハジロは托卵することもあるそうです。(托卵とは他種の鳥の巣に卵を産みつけ、自分のひなを育てさせることです。)キンクロハジロは実は策略家の一面もあるのかもしれません。ますます詳しく知りたいキンクロハジロです。

 

キンクロハジロ イラスト
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