日本で見られる野鳥の中で最小サイズ
キクイタダキは日本で見られる野鳥の中でも最小サイズです。全長10cm、体重がなんと5g。小さいし、軽いですね!5gって塩小さじ一杯分。小さいイメージでのメジロでも11gです。キクイタダキがどれだけ小さいかイメージしてもらえるのではないでしょうか。
キクイタダキの特徴
針葉樹林が好き
キクイタダキは針葉樹林を好みます。しかも樹上の上部にいることが多く、水浴びをする時くらいしか地上には降りてきません。枝先にとまって昆虫などを食べます。
頭に黄色の線
キクイタダキの代表的な特徴の一つです。頭上に黄色い冠のような羽があります。メスもオスも黄色い線がありますが、オスは黄色の中に中央部にオレンジ色の線があります。オスは縄張り争いや求愛の時に、その黄色とオレンジ色の冠羽を逆立てます。
先ほどご紹介したように、キクイタダキは樹上の高い部分にいることが多いので、黄色の冠を見ることはなかなか難しいです。しかも体は小さく、動きも早いので双眼鏡で捉えるのも至難の技です。
本州中部以北で繁殖する留鳥もしくは漂鳥
九州の一部では冬鳥として飛来する他、本州中部以北の高山の針葉樹林にすむ留鳥です。秋冬には低山の林や都市部の公園でも見ることができます。
鳴き声「ツチツチツチリリリリリ」
高い声で「ツチツチツチリリリリリ」とさえずります。僕にとっては街で鳴き声を聞いてもシジュウカラにしか聞こえません…。
名前の由来
漢字で書くと「菊戴」
キクイタダキは漢字で書くと「菊戴」です。
黄色の羽毛を菊の花に見立てて「頭上に菊を戴いている鳥」という意味ですね。黄色の冠羽の様子を表しているんですね。
英名はGoldcrest
英名はGoldcrestと言います。crestは鳥の冠羽という意味なので、まさに“黄金色の冠羽”という意味ですね。
ヨーロッパの小国、ルクセンブルクでは国鳥とされています。キクイタダキはヨーロッパの伝承では「鳥の王」としてしばしば登場します。小さな体ながら美しい声とその黄金色の冠をもつせいでしょうか。
キクイタダキとの出会い
僕が初めてキクイタダキを見たのは、12月の井の頭公園でした。シジュウカラがたくさんいて見ほれてたら次々と他の野鳥も集まってきて気づけば様々な野鳥に囲まれていました。鳥の楽園さながらだったのですが、その中の一つがキクイタダキでした。
松の枝から枝へ素早く動き回るウグイス色の小鳥が見え、もしやと思い双眼鏡を向けると、頭部に菊があり、紛れもなくキクイタダキだとすぐにわかりました。ただ動きがとても早く、バードウォッチング初心者の僕には双眼鏡で追うのが一苦労でした。でも同じ場所にいてくれたおかげで、じっくりと観察することができました。少し興奮したのを覚えています。
体重は5gと冒頭でご紹介しましたが、しじみ1個分の重さです。初めはとても信じられず、何度も調べ直しました。ですがどうやら事実のようです。でもやっぱり信じられません。今度フィールドで出会ったときはその重さも意識しながら観察したいと思います。