アオジはかなりメジャーな野鳥で東京など都市の公園林でも冬季は普通に見ることができます。東京港野鳥公園のレンジャーブログでも頻繁に登場するので珍しくない野鳥であると思うのですが、当ブログではやっとご紹介できました!
理由はこれまでハッキリと識別できず自信が持てなかったためです。留鳥なので通年で出会うチャンスがありますし、実はこれまでもそれらしい野鳥との出会いはあったのですが、確信が持てず今になってしまいました。
最近になってようやく石神井公園の茂みで小さな木の実をつついているところをじっくり観察することができ、また、京都御所でも「アオジだ!」と確信を持てたため、晴れて本ブログに登場となりました。
アオジをめぐる葛藤
ではそれまでの出会いでの確信に至らなかった理由をご説明したいと思います。
アオジに似た鳥がいくつかいます。
①マヒワと似ている
初めにアオジらしき野鳥X(仮にXとします。)に出会った際、色がとてもきれいで印象的でした。早速辞書で調べてみたのですがアオジかマヒワで迷いました。
②クロジと似ている
特にメスですがかなり似ています。雄のクロジは黒褐色の渋い野鳥ですのですぐにわかります。
③すぐに逃げてしまう
よく多摩川などの河川敷で探鳥をしながら散歩したりするのですが、野鳥Xは前方の足元にいます。そして探鳥中はつい側方、並びに上方を見がちです。そして「あっ!」と気づいた時にはきれいな黄緑色の残像だけを残して飛び去ってしまうという具合です。探鳥中は前方地面にも要注意との良い教訓を得たことが唯一の慰めです。(くやしー!)
そんな悩ましいアオジ、あらためてアオジの特徴です。
特徴
アオジの見た目
体長16㎝で、スズメ大の小鳥だがスズメよりは少々大ぶりの印象。留鳥でほぼ全国どこでも見れます。
お腹が明るい黄緑というか黄色い、背は灰褐色、羽は赤褐色に黒の縦斑がある非常に美しい小鳥です。雄雌同色ですがオスの方が顔や目元が黒ずんでいる印象です。
メスの頭には黄色い眉斑と頭央線があります。ホオジロ科ホオジロ属だけあってホオジロやクロジに似ていますが、個人的にはマヒワ(アトリ科マヒワ属、12.5㎝)に結構似ていると感じます。
春や秋の渡りの時期ではぱっと見て識別が難しいかもしれません。
アオジとクロジはよく似た野鳥で、特にメスはかなり似ていています。野鳥にかなり詳しい人でも迷うことがあるそうです。お腹の黄色で見分けると良いでしょう。
アオジの鳴き声
チョッピーチョ、ピリリーなどとさえずります。
冬場は茂みの中でジッ、ジッとウグイスの地鳴きに似た声を出します。
会える季節・場所
アオジは留鳥です。ただし、温かいシーズンと寒いシーズンの行動パターンがかなり違います。
夏場は高原や1,000m程度の山は林縁でさえずりますが、冬場は市街地の公園林や庭にもやって来ます。出会いやすいのは圧倒的に冬場だと思います。
アオジと会えるのは薄暗い茂みです。一瞬「スズメ?」と思うのですが、よくよく見てみるとスズメよりはちょっと大きく、「何かが違う・・・」
それでよーく観察してみると「アオジだ!」という感じです。
名前の由来
アオジのアオは「青」または「蒿」をあてます。「蒿」はヨモギ。どちらも今で言う「緑色」という意味にあたりますが、アオジはどちらかというと黄緑か黄色い色をしています。
アオジのジは鵐(シトド)という意味。難しい字ですね。初めて見ました。シトドはホオジロ類の古称なのでアオジは「緑色のホオジロ」というような意味になります。
まとめ
アオジの中でも、特に冬に会うアオジは、注意深く観察しないと100%スズメと思ってしまいます。先日、京都御所を散歩している際に前方の地面でテクテク歩いているのを見かけました。樹木が茂って薄暗いため、双眼鏡を使わず裸眼でみてもスズメにしか見えないと思います。
メジャー級のスズメっぽい小鳥に、あえて双眼鏡を向けようとはなかなか思わないものです。実はミクロの世界でも「観察者」の存在は大きい事が知られています。「観察者」の媒介により素粒子の挙動が変化したりする場合があるのです。詳しいことはぜひ専門書を開いてみてください。
とはいえ、ここではアオジについてぜひ興味を持っていただけないかとお願いする次第です。かなり目立たないやつですがとても美しい小鳥です。今日もあなたの近くの地面で地味に泣いているかもしれません。もし「スズメかな?」と思う小鳥に出会ったら。「いやちょっと待てよ。色は黄色くないかな?」とか一瞬疑っていただけると幸いです。気づきこそまさに進歩なのです!
さあ今日からは皆さんも、下を向いて歩こう!!