カササギ、佐賀の県鳥
カササギは日本国内では九州北西部をメインにすむカラス科の野鳥です。佐賀平野周辺で見ることができ、佐賀では県民の公募により、県鳥にも選ばれています。佐賀県人の友人によるとカササギよりもカチガラスという呼ぶ方が多いと言っていました。
カササギの特徴
カラス 科
カササギはサギとつきますが、サギ科ではなくカラス科の野鳥です。首から上を見ると真っ黒でまさにカラスですが、羽には白の斑があり、尾は緑や紫の光沢のある深い黒色をしています。
日本では佐賀を中心に生息
カササギは日本国内では九州の北西部と北海道の一部に生息していて、その固有の生息地のため大正のころは天然記念物に指定されていました。現在も限定した地域でしか見られない徹底的な留鳥で、その地域では割と多く見ることができます。
カササギ自体はユーラシア大陸に広く分布していて、英名ではEurasian Magpie(ユーラシアのカササギ）というくらいです。スウェーデンを訪れた時もたくさんのカササギやカササギの巣を見つけました。モネの絵にも雪景色の光の中でたたずむカササギを描いた「かささぎ」という絵もありますね。
鳴き声は「カシャッカシャッ」
カシャッカシャッという独特の声で鳴きます。その鳴き声が「カチカチ」と聞こえることから別名「カチガラス」と呼ばれます。16世紀豊臣秀吉の朝鮮出兵の時に「カチカチ（勝ち勝ち）」と鳴くカササギを縁起がいい、その名前を与えたと言われています。（諸説あり）鍋島氏が朝鮮半島から持ち帰ったということも言われています。僕もカササギよりもカチガラスという呼び方の方が縁起が良くて好きです。
ちなみに学名はpica picaといいます。ピカピカにカチカチなんてちょっと可愛らしいですよね。
ボール状の大きな巣を作る
大きな木の上部や電信柱の上の方に、枯れ枝を積み上げて球状の大きな巣を作ります。巣に入る入り口は横についていることが多いです。九州電力でも巣を作りやすいように電線に触れないような空間を電柱近くに設けていて、逆に作ってほしくない電柱にはプロペラをつけているそうです。地域に暖かく見守られているんですね。でも近年は他のカラスに迫害され、個体数は減ってきています。
大きさは45cm
ハシボソガラスより少し小さいサイズです。そしてハシボソガラスよりも尾が長いです。
朝鮮半島とゆかりが深い
カササギは16世紀に豊臣秀吉の朝鮮出兵の時に鍋島氏が連れて帰ったことに由来するとご紹介しましたが、諸説あるようです。
鍋島氏が連れてきたかもしれないし、佐賀と言えば有田焼が有名なので当時の陶工が連れてきたのかもしれないし、倭寇が連れてきたのかもしれないし、渡来人が連れてきたのかもしれないし・・・歴史的な細かいことは抜きにして勝手に僕はロマンに想像を膨らませています。
福岡空港から仁川国際空港までなんと35分。九州北部と韓国は距離的にもとても近いです。飛んでも泳いでもすぐに行けそうな近さです。カササギは朝鮮半島とのそんな縁の深さを感じさせてくれます。
韓国ではカササギはとてもメジャーな野鳥です。僕も韓国を訪れた時、仁川国際空港からソウル市内に向かう車中で多くのカササギを目にしました。日本でいうハシブトガラスのようにたくさんいました。
そしてカササギは韓国の国鳥です。と言っても政府が公式に認めたわけではなく、韓国の人たちの人気投票的な非公式の国鳥です。韓国ではカササギの鳴き声を朝聞くと嬉しい客人が訪れると言われています。また子どもの乳歯が抜けたときは屋根にその歯を投げます。カササギが新しい歯を運んでくれると言われるなど、幸運を運ぶ鳥なんですね。
七夕の夜に欠かせないカササギ
カササギは七夕にも欠かせない鳥です。百人一首に大伴家持の歌に
かささぎの渡せる橋におく霜の 白きを見れば夜ぞ更けにける
があります。ここでいう「かささぎの渡せる橋」が天の川のことで、織姫と彦星を七夕の日に逢わせるため、たくさんのカササギが翼を連ねて橋を作ったとされる中国の七夕伝説に由来しています。七夕の夜に二人を結ぶキューピット的な役割のカササギ、ロマンチックですね。
まとめ
僕は個人的に佐賀にはご縁がありしばしば訪れます。なのでカチガラスは僕にとっては身近な野鳥だと思っています。ただ、一般的な日本人にとって佐賀はメジャーな県ではなく、訪れたことがあるという人は少ないのではないでしょうか。日本で見れる野鳥の中でも、離島でもないのに、平野部に局地的に生息するカササギはとても珍しいと言えるでしょう。カチガラスを目当てに佐賀平野を訪れてみるのも一興ではないでしょうか。
前述の友人曰く
「佐賀にきんしゃい。バルーンフェスタも佐賀平野であるよ。」と。
