カニをくわえた旅人、スナフキンならぬチュウシャクシギ

チュウシャクシギ イラスト

ちょっと下向きにのびた長いクチバシが特徴的なチュウシャクシギ。そのクチバシはカニやゴカイなどを地面にグリグリと突っ込んでエサを探します。僕は東京港野鳥公園の干潟で初めて見たときに、外国にいそうな風貌で、個性的なクチバシをもつ野鳥を日本にいて見られるなんて!と驚きました。

今回はチュウシャクシギ についてその特徴や名前の由来について紹介していきます。

チュウシャクシギの特徴

長い下に曲がったクチバシ

チュウシャクシギの一番の特徴だと思います。下向きに伸びた長いクチバシ、柔らかくしなるようなクチバシです。泥や水の中の食べ物をクチバシで探りながらとります。野鳥はえさによってクチバシの形が違います。猛禽類は肉を引きちぎりやすいように曲がった鉤型、シメやカワラヒワは木の実を砕いて食べるため、短く太いクチバシを持っています。

クチバシの形の違いを知ることはバードウォッチングの楽しみの一つでもあります。

旅鳥

旅鳥として日本には4−5月、9−10月に干潟に立ち寄ります。旅鳥とは、日本より北で繁殖し、日本より南で冬を越す鳥です。春の北上や秋の南下の渡りの時期に見られます。チュウシャクシギはユーラシア大陸に点在して分布し、冬はアフリカ大陸からインド、ニューギニア島、オーストラリア大陸に渡って越冬します。

日本に来たときには、干潟や川、水田に飛来したり、草原で昆虫をとらえることもあります。

 

頭に白と黒の線

大きさは42cmと図鑑には記載されています。ものさし鳥のハシブトガラスよりはまだ小さいけど、ヒヨドリより大きいサイズ感です。ただ、体長はクチバシの先から尾の先までなので、クチバシの長いダイシャクシギは、書いてあるサイズよりは小さく感じます。

また望遠鏡などで遠くから見る機会が多いと思うので、42cnよりはいっそう小さく見えるかもしれません。

頭部にモヒカン刈りのように、白と黒の線があります。

鳴き声「ホーピピピピピピピ」

鳴き声は口笛のような高い音質です。欧米では“セブンホイッスル”という異名があります。7回笛を吹くように鳴く鳥という意味ですね。

群れていることが多い

非繁殖期には群れて生活をします。100羽を越えることもあるほどです。

僕は単独でいるところを一度しか見たことがないので、群れているのも見てみたいです。

名前の由来

漢字で「中杓鴫」

田に鳥と書いてシギと読みます。田んぼにいることからこの名前がつきました。国字と言って、日本製の漢字です。噺(はなし)や峠(とうげ)も国字です。この鴫という字は、なかなか読める人も少ないのでは。僕もこの字がシギだと初めて知りました。

中杓の杓は柄杓のことですね。茶道でお湯を釜からすくう道具です。しなったクチバシの様子からついた名前なのでしょう。

敷、繁からきている?

群れて舞い降りる状態、群れがエサを食べる状態を表しています。群れになったシギが後から後から追いついて前のものに重なるような様が目に浮かびますね。

こんな個性的な野鳥を東京で見れるとは

僕がチュウシャクシギを見たのは東京港野鳥公園です。観察センターでレンジャーの方が「チュウシャクシギがいますよ」と教えてくださったので、据置の望遠鏡でのぞいたところ見えました。

その長いクチバシをもつ個性的でスマートな姿が「ダーウィンが来た!」などの動物番組でしか見られない鳥のようで、日本で見られて感動したのを覚えています。同じ渡り鳥でもジョウビタキやツバメ、タンチョウ、ガンは半期だけしか日本にいないにもかかわらず、身近に感じられ、日本の野鳥というイメージがあります。

一方チュウシャクシギは「旅鳥」という言葉が当てはまる野鳥だと思います。旅人のようにどこかよそよそしく、ミステリアスな・・・まさにスナフキンですね。少し大袈裟ですが、チュウシャクシギに出会って、海の向こうには世界が広がっているんだなと改めて地球のことを考えたりしました。テへ。

チュウシャクシギ イラスト
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