ほとんどの野鳥が渡り鳥!?
野鳥観察を始めてから知ったのですが、「ほとんどの野鳥が渡り鳥である」と言ってもよいぐらいです。
渡り鳥というと、例えば夏に南から渡って来るツバメや、冬にシベリアから渡って来るカモ類や、鶴、白鳥のイメージがあり、なんだか「特別」な感じがします。実はそうではなく、むしろ渡り鳥が「普通」なのだと思います。
もちろん、空を飛べることと関連があると思いますが、野鳥の「根本」は移動にあり、と言っても過言ではありません。
そんなわけで、「渡り」という点から野鳥を識別する呼称がありますので、今回はそれらを紹介したいと思います。
ちなみに、「渡りの謎」という言葉を聞いたことがありますか?
そもそもなぜ渡りがあるのかよくわかっていません。餌を求めて、繁殖のため、などなど。そうに違いないのですが、危険を冒さなくてももっと他に良い方法があるのではないかという気もします。
鳥を分類する方法がいくつかありますが、以下の5つで分類が可能です。
渡り鳥の種類
夏鳥(なつどり) | 春に南からやってきて、秋に南に行く野鳥 | ツバメ、キビタキ、サンコウチョウ、オオルリなど |
冬鳥(ふゆどり) | 秋に来たからやってきて、春に北に帰る野鳥 | マガモ、ツグミ、ジョウビタキなど |
漂鳥(ひょうちょう) | 春夏に山地や北方で繁殖し、秋冬に市街地や南方に降りてくる野鳥 | ルリビタキ、ミソサザイ、ウグイス、アオジなど |
旅鳥(たびどり) | 春に南からやってきて、秋に南に行くが、移動距離が長いため日本には旅の途中で立ち寄るだけ。観察できるのは春と秋 | チュウシャクシギ、メダイチドリ、オオチドリなど |
留鳥(りゅうちょう) | 1年中そこにいる野鳥 | スズメ、カルガモ、ヒヨドリなど |
ちなみに、上記の分類は国内であっても地域により呼称が変わります。例えば、タシギは基本的に旅鳥で、春と秋の通過のみ観察できますが、関東以西では越冬しますので冬鳥ということになります。
一説にはスズメなどの留鳥とされる野鳥も実は多少の渡り(移動)を行っており、昨日見たスズメが今日見た個体と全く同じではなく、少しの地域間をスライド移動しているなんて見方もあります。若い個体が遠くの方まで移動して繁殖域を広げることもあります。
そこで考えたのですが、留鳥も含めて大部分の野鳥は大なり小なり渡りをしていると仮定すれば、単純に渡りの距離が上記の5つの分類に当てはまると。日本はちょうど温帯域に細長く伸びる列島ですからこれらの野鳥の通過を観察するのに絶好の立地なんですね!
下記、渡りの距離をチャートにしてみました。(夏鳥と冬鳥の違いは繁殖地と越冬地の違い。つまり起点が違うだけで動きとしては同じことが行われています。)
移動距離の違い
すごく長い | 長い | 短い | すごく短い・ほぼ無い |
旅鳥 | 夏鳥・冬鳥 | 漂鳥 | 留鳥 |
まとめ
余談ですが、オオジシギやホウロクシギなどのシギ類では、南半球のニュージーランド・オーストラリアから北半球のカムチャツカ半島・アリューシャン列島の方まで旅をする強者もいます。
その途中で旅鳥として日本に立ち寄るのですが、なんだか人間がちっぽけにも感じてしまうくらい、本当にスケールが大きいです。
想像するに、ただただ圧倒されるばかりです。
そんなわけで、最近「旅鳥」に魅せられています。シギ・チドリ類が多いのですが、春と秋の渡りの時期しか出会えないそのひと時が楽しみでなりません。
この一瞬を逃せば出会えない、刹那に感謝。(ちょっと大げさですが)運命すら感じます。
また、ある意味では「旅鳥」ともいえる夏鳥、冬鳥が市街地を通過する際に出会える瞬間。
地球は生きている
確かな大地の鼓動感じさる野鳥の世界。
それを感じさせてくれてただただ幸せだなと感謝するばかりです。