野鳥の羽毛は生え変わる、カモ類のエクリプス羽、繁殖羽とは?

換羽

羽毛は生え変わる「換羽(かんう)」

鳥は1年に1〜2度の周期で古い羽毛が抜け、新しい羽毛が生えます。野鳥の羽は、当たり前ですが屋外生活で酷使され、擦り切れたり折れたりしてきます。そうなると飛ぶことに支障をきたすだけでなく保温効果も低くなってしまいます。そのため鳥は換羽をします。

ただ換羽には大きなエネルギーを要するので、繁殖の時期と重ならないようにします。換羽も繁殖も、鳥の1年のサイクルの中ではエネルギーを使うことだからです。

カモ類は短期間のうちに換羽をする

タカ類など割と大きな野鳥は長い期間をかけて少しずつ換羽をします。なので飛べない期間というのはありません。

一方、カモ類は割と短期間のうちに換羽をします。秋口に日本に渡ってくる冬鳥は冬の繁殖期の前に換羽を行います。換羽の期間は飛ぶことができませんが、短期間で素早く羽毛を更新することができます。

エクリプス羽(う)

カモの仲間のオスは日本に渡ってきた時はメスに似た地味な羽毛をしています。これをエクリプス羽(う)と呼びます。

エクリプス(eclipse)は英語で日食や月食の「食」のことで、蝕む、隠れるという意味です。この時期のオスはメスによく似ていて、雌雄を見分けるのは結構難しいです。オスは冬までに換羽を済ませ、派手な繁殖羽になります。繁殖羽になったオスは種類独特の羽色になるのでバードウォッチングする上でも随分見分けやすくなります。

繁殖羽(はんしょくう)

そもそもなぜ華やかな色合いになるのでしょう?派手なルックスになるのはメスに求愛したり、オス同志が争いをするときに役に立ちます。メスはより美しい羽毛を持つオス、より美しくふるまうオスを選びます。

オスの美しさはメスの好みによって生み出されています。あくまでも選ぶのはメス、メスが選択権を持ってるんですね!

メスは地味な色合い

メスは全体的に褐色の地味な色合いをしているものが多いです。
メスは巣内の卵や抱卵する自分自身を守るためにも、自分の存在をできるだけ目立たないようにし外敵から身を守っているんですね。

鳥のように飛べたら

野鳥にとって大切な羽。飛ぶためだけでなく、保温性を保つため、メスにアピールするためなどなど多くの役割があります。鳥のように飛べたら…と古来より人は鳥に憧れを抱き続けてきました。鳥の飛ぶ仕組みは羽だけでなく様々な要素が絡み合っていて興味がつきません。鳥の飛翔について新たにわかったことがあればまた記事でもアップしたいと思います。

冬鳥の飛来に秋を感じる

バードウォッチャーは渡り鳥に季節を感じます。ツバメを見ると「お、ツバメがきた」と春を感じ、ジョウビタキを見つけ「ジョウビタキも来たか!」と秋の到来を感じます。渡り鳥の姿をその季節に初めて見つけた時はとても嬉しいものです。

特に9月頃に水辺の鳥が渡ってきたときの喜びは格別です。普段カルガモしかいない善福寺川に、ある日カルガモではない鳥がいる、今年もこの季節がきたかと思うわけです。日本に渡ってきてすぐの水鳥はエクリプス羽なのでその種類が初心者の僕にとってははっきりとはわかりづらいです。しかし「あれはなんだろうな」と思いながらよくよく観察しているうちに「コガモがきた」「オナガガモがきた」というのがわかってきます。そうなると嬉しいし、水辺にどんどん水鳥が増えていくのを見るのがとても楽しみになります。
寒さ深まる中でも野鳥を見にいこうと、ワクワク感で心が温まるのです。

 

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